食糧を構成している成分は食品という形態をとって体内に取り込まれて生命の恒常性維持のために使われる。このような役割を果たす成分分子の栄養性や生理機能性を解析し,有益な分子の増強や有害な分子の除去などを施した新規な食糧の分子設計を行うとともに,良質な食品を製造するに必要な素材の開発利用の研究を行う。
(教授)鬼頭 誠,(助教授)福岡 伸一,裏出 令子,(助手)森山 達哉
(技官)樋笠 隆彦
(非常勤職員)谷 喜志子,田中 智子,石黒加奈子
(大学院生)池田 良樹,安西亜矢子,奥戸 宏和,楠瀬 正彦,西海 智子
(受託研究員)北川さゆり
(研究生)北畠 典子
(1)研究内容
[研究目的]
食糧を構成している成分の生命維持活動に対する多彩な役割について分子レベルで研究を行う。
[研究課題]
(1)食用油脂と健康に関する基礎及び応用の研究(鬼頭,裏出,森山)
食用油脂を構成している種々の脂肪酸が生体膜脂質二重層の構造と機能にどのような影響を及ぼしているかという点に関して,大腸菌,植物培養細胞,動物培養細胞,ラット心臓,ヒト血小板などを用いて広く研究してきた。生体膜脂質,とくにリン脂質分子内の脂肪酸側鎖の分布即ち分子種構成は遺伝子支配というよりはむしろ環境要因によって大きく支配されることを明らかにした。魚油を構成する種々の高度不飽和脂肪酸による血小板や心筋ミトコンドリア膜リン脂質の改変とそれに伴う機能の変化や動物細胞による無差別な脂肪酸の取り込みおよびそれに伴う生体膜リン脂質分子種組成の変化などの機構を明らかにした。高度不飽和脂肪酸をn-3系とn-6系の2種類の視点から,生体膜リン脂質への取り込みの選択性を,不飽和脂肪酸要求性の動物培養細胞などを用いて調べたところ,ホスファチジルエタノールアミンヘはn-3系とくにドコサヘキサエン酸(DHA)が極めて高い選択性をもって取り込まれることが明らかになった。このことはDHAのとり過ぎの危険性を示唆している。以上のような基礎研究によって得られた成果を通して,ヒトの健康に対する食用油脂の摂り方を考察している。
(2)動物細胞オルガネラに特異的なタンパク質代謝の研究(裏出)
食品となるすべてのタンパク質は細胞で生合成される。細胞には,正常な機能を持つ完成タンパク質だけを生産し異常なタンパク質を生合成直後に取り除く,品質管理機構が備わっている。この細胞機能は,微生物から高等生物にいたるすべての生物に共通した普遍的機能である。異種タンパク質あるいは組み換えタンパク質を作物に発現させてより高品質な食品タンパク質の創製を行う場合には,本細胞機能を利用あるいは調節する必要性が生じてくる。そこで,品質管理機構のメカニズムをラット肝臓,動物培養細胞,大腸菌などを用いて研究し,動物細胞の小胞体に品質管理機構の構成員である複数のシステインプロテアーゼが存在することを,明らかにしてきた。さらにそれらの1つであるER-60プロテアーゼの遺伝子の部位特異的変異体を作製し,同じグループに属するプロテアーゼに共通の活性基システイン残基を明らかにした。現在,プロテアーゼの構造機能相関をさらに詳細に検討するとともに(写真1),品質管理に関わるプロテアーゼ以外の分子を同定し,異常タンパク質だけがプロテアーゼによって分解される機構の解明に取り組んでいる。
説明:細胞を共焦点レーザー走査光顕微鏡で観察した。緑色は小胞体,赤色はゴルジ体,青色はER-60プロテアーゼの分布を示す。abc,efg,ijkはそれぞれ同じ細胞を色別に撮影した画像,d,h,lは赤色画像と青色画像を重ねた画像である。正常なER-60プロテアーゼ(c)は小胞体に分布しているが,小胞体保留シグナルを持たないER-60プロテアーゼ(k)は小胞体に留まることができずゴルジ体へ輸送されていることがわかる。Nは細胞核,矢印はゴルジ体を示す。
(3)栄養素の消化吸収メカニズムの分子生物学(福岡)
栄養素の消化・吸収に関わる主要な消化酵素は,膵臓の消化酵素分泌細胞で産生される。消化酵素分子は,細胞内の粗面小胞体膜上で合成され,小胞体内腔に入り,ゴルジに輸送されたあと,ソーティング(選別)をうけ,チモーゲン顆粒という球状の細胞内小器官の中に濃縮・充填される。摂食の信号が神経やホルモンを介して膵臓に伝達されると,チモーゲン顆粒は内部に蓄えていた消化酵素を消化管に面した細胞外に開口分泌する。このプロセスにおいて,ソーティング,チモーゲン顆粒膜の形成,開口分泌における膜融合などの重要な細胞内メカニズムが働いているが,その分子レベルでの機構の詳細は未知であった。本研究の目的は,これらの機構を担う分子装置を同定することである。このような未知の重要分子が局在している場所として消化酵素を輸送するチモーゲン顆粒に注目した。チモーゲン顆粒の膜に局在する分子をZAP(Zymogen granule membrane Associated Proteins)と命名し,分子生物学的手法で系統的に解析を進めた。その結果,チモーゲン顆粒膜の形成に関与するGPIアンカー分子ZAP75,膜融合過程の調節分子候補としてアネキシン類似タンパク質ZAP36などの新規分子を発見した。
(2)研 究 費
2.1.文部省科学研究費
鬼 頭 誠 (単位:万円)
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平成4 平成5 平成7
平成8
平成8 |
一般B 一般B 一般B 総合A 基盤B
重点領域 |
高度不飽和脂肪酸結合リン脂質分子種の役割 高度不飽和脂肪酸結合リン脂質分子種の役割 n-3及びn-6系不飽和脂肪酸種のリン脂質へのとり込みの選択性に関する研究 小胞体におけるクオリティコントロールの研究 n-3及びn-6系不飽和脂肪酸種のリン脂質へのとり込みの選択性に関する研究 小胞体におけるクオリティコントロールの研究 「細胞内蛋白分解」小胞体特異的システインプロテアーゼ |
代表/新規 代表/継続 代表/新規 代表/新規 代表/継続 代表/継続 代表/新規 |
620 110 500
80
250 |
福 岡 伸 一 (単位:万円)
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区 別 | 金額 |
平成4 平成5
平成8 平成8 |
奨励A 奨励A
奨励A 基盤A |
高性能cDNAライブラリーの開発 食環境に対する応答を担う遺伝子上の栄養素応答エレメント 「蛋白輸送」エキソサイトーシスに関与する顆粒膜蛋白質のクローニング 細胞内膜融合をつかさどる分子をとらえる新しいアプローチ 「蛋白輸送」脳と膵臓の調節性エキソサイトーシス分子機構の共通性と特異性 小胞体におけるクオリティコントロールの研究 消化酵素の分泌機構における新規分子ZAP36の機能解析 小胞体におけるクオリティコントロールの研究 |
代表/新規 代表/新規 代表/新規 代表/新規 代表/新規 分担/新規 代表/新規 分担/継続 |
90 90
110 35 |
裏 出 令 子 (単位:万円)
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金 額 |
平成5
平成8 平成8 平成8 |
一般C
基盤A 基盤C 重点領域 |
ラット肝臓の小胞体におけるタンパク質代謝を司る新しいシステインプロテアーゼ ラット肝臓の小胞体におけるタンパク質代謝を司る新しいシステインプロテアーゼ 小胞体におけるクオリティコントロールの研究 小胞体におけるクオリティコントロールの研究 小胞体におけるタンパク質の品質管理機構に関する研究 「細胞内蛋白分解」小胞体特異的システインプロテアーゼ |
代表/新規 代表/継続 分担/新規 分担/継続 代表/新規 分担/新規 |
150
25 160 200 |
森 山 達 哉 (単位:万円)
年 度 | 種 目 |
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金 額 |
平成4 平成5 平成5 平成7 |
一般B 奨励A 一般B 一般B |
高度不飽和脂肪酸結合リン脂質分子種の役割 イノシトールリン脂質代謝回転とアラキドン酸遊離反応とのクロストークに関する研究 高度不飽和脂肪酸結合リン脂質分子種の役割 n-3及びn-6系不飽和脂肪酸種のリン脂質へのとり込みの選択性に関する研究 |
分担/新規 代表/新規 分担/継続 分担/新規 |
620 90 110 500 |
2.2.他省庁研究費
鬼 頭 誠 (単位:万円)
年 度 |
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金 額 |
平成8 | 農林水産省 | 生物系特定産業技術研究推進機構生理機能調節性タンパク質集積作物の開発と利用に関する総合的基盤研究 | 代表/新規 |
8,000 |
2.3.京都大学研究費
裏 出 令 子 (単位:万円)
年 度 |
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金 額 |
平成4 | 京都大学学術奨励 | 動物小胞体特異的システインプロテアーゼに関する研究 | 代表/新規 |
100 |
福 岡 伸 一 (単位:万円)
年 度 |
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区 別 | 金 額 |
平成6 | 京都大学学術奨励 | 生体膜の融合をコントロールする分子機構の解明 | 代表/新規 |
100 |
(3)学 会 活 動
3.1.各種学会の役員
鬼 頭 誠
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日本農芸化学会 |
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日本生化学会 |
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日本脂質生化学会 |
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日本油化学協会 |
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Comments on Agricultural and Food Chemistry | Asian and Pacific Coordinator |
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Trends in Food Science and Technology | Advisory Editorial Board Member |
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3.2.学会,シンポジウムの役職
鬼 頭 誠
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日米油化学会ジョイントミーティング,アナハイム,米国 | タンパク部会オーガナイザー | 1993年4月 |
(4)受 賞
鬼 頭 誠
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日本農芸化学会賞 | 生体膜リン脂質の多機能性に関する生化学的研究 | 平成5年3月30日 |
裏 出 令 子
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日本農芸化学会奨励賞 | 動物細胞オルガネラに特異的なタンパク質および脂質代謝に関する研究 | 平成5年3月30日 |
福 岡 伸 一
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日本農芸化学会奨励賞 | 消化酵素分泌細胞における開口分泌機構の研究 | 平成9年3月31日 |
(教授)内海 成,(助教授)三上 文三,(助手)遠藤 剛,安達 基泰
(生物系特定産業技術研究推進機構派遣研究員)佐藤 良平,(非常勤研究員)エリフ・サリカヤ
(非常勤職員)林 香世,赤羽 智津,(受託非常勤職員)大倉 英子,金田裕美子,中川 周子(大学院生)丸山 伸之,和田 祐典,鹿毛 滝博,福本 年伸,関根 暁史,増田 太郎,岸本 徹
(外国人共同研究者)ユン・ヘジン
(1)研究内容
[研究目的]
食糧タンパク質や食品加工用酵素の性質を改質するために遺伝子工学的手法を用いて分子設計を行う。
[研究課題]
(1)食糧タンパク質及び食糧関連酵素の構造と機能に関する研究(内海,三上,安達)
食糧タンパク質の構造形成機構,集積機構(ソーティングシグナル),加工特性発現機構,構造・加工特性相関,並びに食糧関連酵素の触媒能発現機構の解析をX線結晶構造解析とタンパク質工学の手法を駆使することによって分子レベルで研究している。食糧タンパク質としては,ダイズ,コムギ,イネ,トウモロコシなどの種子貯蔵タンパク質を主な研究対象としている。種子貯蔵タンパク質は分子種の多型性のために均一分子種の調製が困難であるので,大腸菌発現系を利用している。特に,ダイズタンパク質に関しては主要成分であるグリシニンとβ-コンクリシニンの結晶化に成功し,X線結晶構造解析を進めている(図1)。一方,食糧関連酵素としては,タンパク質に関連するプロテアーゼやトランスグルタミナーゼ,糖質と関連するアミラーゼ,脂質と関連するリパーゼを主な研究対象としている。特に,ダイズβ-アミラーゼ,バチルスβ-アミラーゼ及びカビリパーゼに関しては,高分解能での高次構造を決定するとともに,タンパク質工学の手法を用いて触媒能発現機構を詳細に解析している(図2)。
図1 ダイズβ-コングリシニンの高次構造 | 図2 β-アミラーゼの活性中心の構造 |
(2)食糧タンパク質及び食糧関連酵素の機能変換に関する研究(内海,三上,安達)
食糧タンパク質の加工特性,栄養性,健康維持・増進性,並びに食糧関連酵素の基質特異性,比活性,至適条件,安定性を遺伝子工学の手法を用いて改質・付与し,利用性の高いものに転換する研究を進めている。ダイズタンパク質に関しては,その構造的特徴とサブユニットレベルで明らかにした構造・機能相関に基づいてタンパク質工学的改質を施すことにより,栄養性や加工特性の優れたダイズタンパク質を作出した。これらの改造型こについても結晶化に成功したので,X線結晶構造解析を行うことによってさらなる機能改質へと展開していく。
(3)食糧作物の高付加価値化に関する研究(内海,遠藤)
加工特性,栄養性,健康維持・増進性を改質・付与した食糧タンパク質を有用作物に発現させ,それらの用途を拡大することによって食糧の実質的増産を成し遂げることを目指している。ダイズタンパク質は,コメやジャガイモのタンパク質に不足しているアミノ酸を多く含んでいることに加えて,種々の加工特性や健康維持・増進性(血清コレステロール値低下作用)を備えている。さらに優れた特性を持つように分子設計したダイズタンパク質をコメやジャガイモで発現・蓄積させると高齢化社会に適した主食,副食の開発及び食糧不足の解決に貢献できる。既に,コメ及びジャガイモにおける発現・蓄積が可能であることを確認している。現在,実用作物化のための基礎研究を進めている。
(4)食糧タンパク質のアレルゲン性解析と低減化に関する研究(内海)
食糧に由来するアレルギー疾患が急増し,社会問題となっている。これに対処するために,五大アレルギー食品(卵,牛乳,ダイズ,コメ,コムギ)のうち,ダイズとコムギを研究対象としている。コムギアレルギーに関して分子タンパク質科学的解析を進めた結果,その原因タンパク質が主にグルテニンであり(特に,QQQPPの繰り返し配列を多く含む低分子量グルテニン),その発現に構造が関与していることを見い出した。ダイズにおいては,β-コングリシニンの構成サブユニットである、α,α',βは互いに高い1次構造の類似性を示すが,αサブユニットのみが主要アレルゲンの一つとして同定されている。したがって,そのアレルゲン性に高次構造が関与している可能性が高い。そこで,これらのアレルゲンの高次構造を解明し,そのデータに基づく低アレルゲン化法の開発を計画している。
(2)研究費
2.1.文部省科学研究費
内 海 成 (単位:万円)
年 度 |
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金 額 |
平成4
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一般C
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タンパク質工学によるダイズグリシニンの構造 ・機能特性相関に関する研究 ダイズ貯蔵タンパク質グリシニンの遺伝子発現と構造構築 タンパク質工学による大豆グリシニンの構造・機能特性相関に関する研究 機能性を強化・付与した大豆タンパク質を分子設計するためのX線結晶構造解析 機能性を強化・付与した大豆タンパク質を分子設計するためのX線結晶構造解析 大豆種子主要貯蔵タンパク質の品質・構造相関に関する研究 |
代表/新規
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120
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三 上 文 三 (単位:万円)
年 度 |
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金 額 |
平成5
平成6 平成6 平成7 平成7 平成7 平成8 平成8 |
一般B
総合A 国際学術 一般C 総合A 一般C 基盤C 基盤C |
食品蛋白質の分子構造変換による機能特性の発現機構―モルテングロビュールの役割 ダイズβ-アミラーゼのタンパク質工学 β-アミラーゼの基質認識機構 β-アミラーゼのX線結晶構造解析による触媒機構の解析 ダイズβ-アミラーゼのタンパク質工学 β-アミラーゼの基質認識機構 細菌アルギン酸リアーゼのX線結晶構造解析と反応機構 β-アミラーゼのタンパク質工学 細菌アルギン酸リアーゼのX線結晶構造解析と反応機構 |
分担/新規
分担/新規 代表/新規 代表/継続 分担/継続 分担/新規 代表/新規 分担/継続 |
440
30 290 70 30 160 160 60 |
遠 藤 剛 (単位:万円)
年 度 |
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区 別 | 金 額 |
平成4 平成4 平成5 平成5 平成6 平成6 |
国際学術 一般B 一般B 国際学術 奨励A 国際学術 |
植物葉の光酸素ストレス適応機構 NAD(P)H―循環的電子伝達の分子機構 NAD(P)H―循環的電子伝達の分子機構 植物葉の光酸素ストレス適応機構 光照射時の葉緑体からミトコンドリアヘの電子移動の検証 植物葉の光酸素ストレス適応機構 |
分担/新規 分担/新規 分担/継続 分担/継続 代表/新規 分担/継続 |
250 450 170 300 90 300 |
2.2.他省庁研究費
内 海 成 (単位:万円)
年 度 |
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金 額 |
平成8 平成8 |
農林水産省 農林水産省 |
高度利用性イネの開発に関する研究 生物系特定産業技術研究推進機構 生理機能調節性タンパク質集積作物の開発と利用に関する総合的基盤研究:生理機能調節性タンパク質の分子設計と利用に関する基盤的研究―新規タンパク質及び遺伝子の分子設計に関する研究― |
代表/新規 分担/新規 |
141 1,060 |
三 上 文 三 (単位:万円)
年 度 |
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平成8 | 農林水産省 | 生物系特定産業技術研究推進機構 生理機能調節性タンパク質集積作物の開発と利用に関する総合的基盤研究:生理機能調節性タンパク質の分子設計と利用に関する基盤的研究―新親タンパク質及び遺伝子の分子設計に関する研究― | 分担/新規 |
350 |
2.3.京都大学研究費
内 海 成 (単位:万円)
年 度 | 種 目 |
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金 額 |
平成8 | 教育改善 | 植物生理機能性タンパク質成分の高度集積化新技術の開発 | 代表/新規 |
320 |
三 上 文 三 (単位:万円)
年 度 |
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金 額 |
平成5 | 学術研究奨励 | X線結晶構造解析によるダイズβアミラーゼの触媒機構に関する研究 | 代表/新規 |
100 |
(3)学会活動
3.1.各種学会の役員
内 海 成
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(4)受 賞
内 海 成
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アサヒ生活文化研究振興財団 アサヒビール生活科学研究賞 | 大豆タンパク質の高品質化に関する遺伝子工学的研究 |
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三 上 文 三
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日本農芸化学会農芸化学奨励賞 | X線結晶構造解析によるβ-アミラーゼの構造と機能に関する研究 |
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遠 藤 剛
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NAD(P)H-Dehydrogenase-dependent
cyclic electron flow around photo system I in the cyanobacterium Synechocystis PCC 6803:A study of dark-starved cells and spheroplasts: ラン藻 Synechocystis PCC 6803にお けるNAD(P)H 脱水素酵素に依存する光化学系光循 環的電子伝達:暗所飢餓細胞とスフェロプラストを 用いた研究;Plant Cell Physiol. 35: 163-173, 1994. Thylakoid membrance-bound ; NADPH-specific pyridine nucleotide dehydrogenase complex mediates cyclic electron transport in the cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 6803:ラン藻Synechocystis PCC 6803 では, チラコイド膜結合のNADPH 特異的ピリジンヌクレ オチド脱水素酵素が循環的電子伝達を触媒する; Plant Cell Physiol. 36: 661-668, 1995 |
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(教授)村田 幸作,(助手)橋本 渉
(生物系特定産業技術研究推進機構派遣研究員)増田 敬子
(非常勤職員)木村 暢子,(受託非常勤職員)小澤 祥子
(大学院生)佐々木香ほり,岡本 雅子,三木 照
(研究生)洪 彦,松谷 恵子
(1)研究内容
[研究目的]
加工及び遺伝子組み換え食品の安全性並びに有害微生物の毒性物質の検出と除去法などの研究を行う。
[研究課題]
(1)天然および遺伝子工学食糧の安全利用(村田,橋本)
様々な遺伝子組み換え食品が作出され,その食糧としての実用化が急がれている。しかし,遺伝子が操作されているために,その安全性に疑義が持たれ,世界中の問題となっている。そこで,遺伝子組み換え食品の安全性を確保するために,様々な遺伝子組み換え食品の安全性を評価し,その学術基盤を確立することを目的とする。現在,大豆遺伝子転換馬鈴薯と大豆遺伝子転換コメの安全性を評価している。前者においては,許容範囲ではあるが毒物レベルが上昇することを明らかにした。
また,遺伝子組み換えに使用されるDNAの安全性を評価するために,DNAの生理機能性を検討している。その結果,原核細胞DNAには真核細胞の増殖を強く抑制する有害性のあることを見出し,DNA超感受性細胞を用いたDNAの安全性評価システムを開発した。また,DNAが様々な生体反応に直接関わっていることを明らかにした。
(2)細菌接着の分子機構と細菌感染症(村田,橋本)
緑膿菌は,感染すると菌体外多糖アルギン酸を合成分泌し,これをバイオフィルムとしてその中に潜伏する。この状態になると適切な治療法はなく,慢性化する。このバイオフィルム感染症に対して,アルギン酸バイオフィルムを細菌酵素アルギン酸リアーゼで分解し,抗生物質との併用で治療する方法が考えられる。そのためには,細菌アルギン酸リアーゼを体内に導入する必要があり,抗原抗体反応などの問題点を克服しなければならない。そこで,微生物酵素を医薬として人体に適用するために必要な諸条件の基礎的解析を行っている。また,バイオフィルムの可能性が指摘されている多糖スフィンガンを低分子化するリアーゼについても同様の研究を進めている。
(3)細菌細胞表層構造工学(村田,橋本)
細菌細胞表層は,その構造と機能において基本的に同等であるとするのが一般的である。個々の微細な性状においては,細胞表層に機能的・構造的差異が存在するが,それはナノレベル以下の分子装置であり,細胞分裂や胞子形成などを除いて,電子顕微鏡的に視認可能なレベルの極めて大きな構造的変動が細胞表層に惹起されることは,微生物学の予想を超えたエポックメイキングな現象である。土壌分離細菌Sphingomonas sp. Al 株の細胞表層は極めて大きなヒダ(プレート)に覆われた特徴的な構造を持つ。栄養源として高分子多糖が存在するとプレート構造の再編成が起こり,細胞表層に体腔(ピット)が形成される(写真1)。この体腔を有する細菌は微生物学の歴史の中で最初の発見であり,微生物細胞表層の構造生物学と物質透過機構の解明に重要である。
アルギン酸存在下におけるピット形成の時間経過(A, 0時間;B, 2時間;C, 7時間;D, 14時間;E, 20時間).アルギン酸ゲル粒子(平均5mm).
これまでに以下のことを明らかにした。(1)体腔の形成は,高分子物質の取り込み・資化と密接に関連している。(2)体腔の形成は,細胞表層のプレートの再編成によって生じる。(3)体腔には取り込まれる物質が濃縮されている。(4)体腔形成欠損変異株は,高分子物質を取り込まない。現在,この体腔形成欠損変異株を用いて体腔形成に関与している遺伝子とタンパク質を解析し,体腔形成機構を明らかにする研究を進めている。
(5)糖代謝の分子生物学(村田,橋本)
本研究は,微生物ヘテロ多糖を分解するリアーゼに焦点を当て,リアーゼの生物学的機能を解明することを目的とする。対象とするリアーゼは,分子内部をランダムに切断するリアーゼA,分子末端から規則的に切断するリアーゼB,及び分岐鎖の分子末端を切断するリーアゼCである。これらリアーゼの遺伝子をクローニングし,遺伝子構造を明らかにした。現在,これら反応形式を異にするリアーゼの構造・機能の相関を明らかにするためX線結晶構造解析を進めている。
また,リアーゼ生合成の過程を詳細に解析しており,1遺伝子が異なる3種類の酵素の合成に関わること,つまり,一つのタンパク質が3種類の異なる酵素触媒中心を持つことを証明し,セントラルドグマの多様性に関する興味深い結果を得ている。また,リアーゼBの遺伝子は極めて特異的で,従来の遺伝子構造の範疇に納まらないこと,及びリアーゼBの細胞外への分泌においても特殊な機構が存在することを示唆している。その他,酵素リアーゼを用いる新規多糖の合成や酵素反応によって生じる低分子化糖の生理機能性についても検討している。
シアル酸生合成経路を明らかにするため,アセチルグルコサミンとアセチルマンノサミンの間のエピメリ化を触媒する酵素2-エピメラーゼとその遺伝子をブタ腎臓から単離し,その構造を解析した。その結果,2-エピメラーゼは血圧調節に関与するレニン結合タンパク質であることを証明し,血圧制御に関する新たな視点を提供した。
(6)微生物の分子育種とその応用(村田,橋本)
その他,酵母,乳酸菌など有用食品微生物の細胞分化の情報伝達機構の解析,有用微生物分子育種法の基礎的解析やその食品・医薬品分野への応用に関する研究を広く展開している。
(2)研 究 費
2.1.文部省科学研究費
村 田 幸 作 (単位:万円)
年 度 | 種 目 |
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区 別 |
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平成4 平成7 平成8 |
一般(C) 一般(C) 試験(B) 基盤(C) 基盤(B) |
微生物のC-P結合解裂反応の酵素化学的遺伝学的解析 細菌アルギン酸リアーゼのX線結晶構造解析と反応機構 遺伝子転換酵母の安全性評価と低毒性実用酵母の育種 細菌アルギン酸リアーゼのX線結晶構造解析と反応機構 遺伝子転換酵母の安全性評価と低毒性実用酵母の育種 |
代表/新規 代表/新規 代表/新規 代表/継続 代表/継続 |
20 160 170 60 60 |
橋 本 渉 (単位:万円)
年 度 | 種 目 |
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区 別 | 金 額 |
平成8 | 奨励A | 多糖の合成と分解に関するスヒンゴモナス属細菌表層の穴構造と新規高分子取り込み機構 | 代表/新規 |
100 |
2.2.他省庁研究費
村 田 幸 作 (単位:万円)
年 度 | 種 目 |
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区 別 | 金 額 |
平成8
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厚生省
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特定疾患調査研究:特定疾患に関する微生物研究班:慢性肺疾患における細菌の関与とその治療法の開発 生物系特定産業技術研究推進機構:生理機能調節性タンパク質集積作物の開発と利用に関する総合的基盤研究:生理機能調節性タンパク質の分子設計と利用に関する基盤的研究「遺伝子転換作物の安全性に関する研究「 |
代表/新規
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80
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2.3.京都大学研究費
村 田 幸 作 (単位:万円)
年 度 | 種 目 |
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区 別 | 金 額 |
平成7 | 教育改善 | 細菌接着の分子機構と病態との関連解明 | 代表/新規 |
440 |
(3)学会活動
3.1.各種学会の役割
村 田 幸 作
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3.2.学会,シンポジウムの役割
村 田 幸 作
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第10回酵母合同シンポジウム |
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(4)受 賞
村 田 幸 作
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永井記念財団研究奨励賞 (京都府綾部市) | 分子育種による微生物細胞機能の改変と有用物質の生産 | 平成5年2月15日 |
日本生物工学会論文賞 | Direct Uptake of Alginate molecules through a Pit on the Bacterial Cell Surface :細菌細胞表層のピットを介したアルギン酸分子の取り込み(Journal of Fermentation and Bioengineering, Vol.79, No.6,538-544(1995). | 平成8年10月11日 |